エムブレム戦記 プロローグ

















――――――――――――まっさらだった。







そこに広がる平原も、空も、海も、何もかもが、まるで初めて世界に産み落とされたかのように初々しく、穢れを知らぬ潔白さを惜し気もなく晒し、産声を上げていた。







万物が真新しく、何にも侵される事が無い。誰かがそれを「始まり」と呼んだ。






「始まり」を告げるのは、大地の息吹






そして、「始まり」を迎えるのは、果てしない平原の中、佇む「人」。






「人」は何も言わない。何もしない。






ただその場に立ち尽くし、大地の誕生を迎え入れ、草原の息遣いに耳を澄ましていた。






「人」は笑った。その笑いに応える者はいない。「人」の笑いを確かめる者もいない。






「人」は歩き出した。その歩みに連れ添う者はいない。「人」が何処に向かうかを知る者もいない。






「始まり」の世界にたった一つ、動いた「命」は、その存在を誰にも迎えられないまま、ゆっくりと果てしない平地を歩み始めた――――――――――――






――――――――――――宿命―――――――――――






遠く彼方で、無限の空に、たった一つの言葉が響いてきたような気がした―――――




















The legend of fire emblem

エムブレム  戦記

 








第1章「紋章軍始動」
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